正常値と異常値との付き合い方
血液検査などの検査の数値には正常値と異常値という枠組みがあります。実はこの2つ、クリアカットに区別できないことがよくあります。
例えば、血色素量(ヘモグロビン)。血液の濃さを示す指標ですが、男性でしたら13.5〜17.6g/dl、女性でしたら11.3〜15.2g/dlが正常値となっています(当院委託の検査会社の指標です)。では男性なら13.4、女性なら11.2だった場合、貧血となり異常なのでしょうか。
まず、正常値を決める方法は大きく分けて2つあります。1つは、大規模なデータから平均値や標準偏差などの統計学的指標を参考に決める方法(身長など)、2つめは、大規模な臨床研究に基づき、健康の影響を考えて決める方法(血圧値など)です。
検査結果を理解するには指標が必要であり、ある程度の枠の設定は不可欠です。悩ましいのは微妙な枠からのずれを見た場合となりますが、大切なのはその日のデータのみを見る「点」の解釈ではなく、過去複数回のデータと比較する「線」の解釈です。男性で血色素量が13.4でも、女性で11.2でも、過去のデータを見てその方の値がその辺りで長い間推移していたら問題ない可能性が高くなります。
そのようなことから、実は最近では「正常値」と言わず「基準値」ということになっています。枠から外れることが必ずしも異常ではないからです。また、体質や年齢によっても「基準値」は変わります。
医者の立場から見ますと「基準値」は大切な診断の道標の1つですが、そればかりに気を取られて身体所見や他の検査結果をおろそかにしますと正しい診断はできなくなります。健診などで何か気になる検査結果がありましたら、ご相談ください。
